今日から「麦秋(むぎのあき)」。黄金色の穂が揺れる初夏の風景

今日から七十二候のひとつ、「麦秋至(むぎのあきいたる)」に入りました。

「麦の秋」と書いて、初夏の季語。
「秋」という字が入っているので、ちょっと不思議な感じがしますよね。

麦は稲とは逆の生き方をしています。
冬に芽を出して、寒さの中でじっと地を這うように育ち、晩春から初夏にかけて一気に背丈を伸ばして穂をつける。
だから麦にとっての「実りの秋」が、初夏なんですね。

麦畑の穂がざわざわと風に揺れる様子は「麦嵐」「麦の波」と呼ばれ、どちらも初夏の季語。
文字にするだけで、あの揺れる景色が浮かんでくるみたいで好きな言葉です。

■ 時代小説で出会った「麦湯」

時代小説を読んでいたら、「麦湯をのんで」というくだりがあって。

麦湯?
麦酒(ビール)なら聞いたことあるけど…と最初は首をかしげたのですが、あたたかい麦茶のことなんですね。

江戸時代、煎茶は高価で庶民には手が届きにくいものでした。
そこで夏の飲み物として親しまれたのが「麦湯」。
屋台も出るほどの人気だったそうで、現代のタピオカブームみたいなものかな、と想像したら少し笑えてきました。

今は冷やして飲む麦茶が主流ですが、昔はあたたかい「麦湯」として親しまれていた。
同じ飲み物でも、時代で姿が変わるのがおもしろいなと思います。

■ 麦飯と脚気と、暮らしの知恵

もうひとつ、麦と暮らしの深いつながりとして、脚気の話があります。

江戸時代、白米を食べるようになった都市の人たちの間で脚気が流行しました。
田舎では麦や雑穀を食べていたため病気になりにくかったのですが、白米中心の食事ではビタミンB1が不足してしまう。

これが「江戸患い」と呼ばれるようになった理由です。

武家では夏になると使用人に麦飯をふるまう風習もあったといいます。
栄養学という言葉もない時代に、経験と観察で積み上げてきた暮らしの知恵ですね。

大麦には白米の約2倍以上のビタミンB1が含まれているそう。
おいしいものがあふれる現代だからこそ、こういう雑穀やオーガニックへの注目が高まっているのも、なんとなくつながっている気がします。

麦飯…白米に少し混ぜてみようかな、と思っている今日この頃です。


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