第18話|正しさの重さ(占い師篇)

誰かの人生の中にある、
ひとつの選択。ひとつの想い。

それはきっと、
あなたの物語ともどこかで重なっている。

そんな物語を、ここに。

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九星氣学鑑定の中で、
実際にご相談いただいた内容をもとに、
個人が特定されないよう背景を変えながら、
ひとつの物語として記しています。
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電話口から聞こえてきたのは、落ち着いた声だった。

丁寧に、順を追って、出来事を整理しながら話してくれる。感情を抑えて、事実を並べて、状況を説明しようとする、そういう声だった。

でも、わたしには聞こえていた。その丁寧さの奥にある、小さな、でも確かな揺れが。

ひろ子さんは六白金星、一白水星の持ち主だ。

金の星は、意志が強い。誇りを持って動く。積み上げてきたものを信じる力がある。一度決めたことは、簡単には曲げない。それが強さであり、同時に、孤独になりやすい星でもある。

水の星は、深く感じる。人の気持ちを波のように受け取り、静かに、でも確実に影響される。表には出さないけれど、内側では揺れている。そういう繊細さを持っている。

その二つが重なるひろ子さんは——強くあろうとすることと、傷つくことの、両方を同時に抱えてきた人だ。誰にも言わず、ひとりで。

話を聞きながら、わたしは感じていた。

この人が今日ここに来たのは、答えが欲しいからではない。問いを、誰かに預けたかったのだ。

「私は、間違ってたんやろか」

その問いを、職場では言えない。家族にも、うまく言葉にできない。だから、お金を払って、見知らぬ誰かに電話した。

それは弱さじゃない、とわたしは思う。自分の揺れに、ちゃんと正直でいられる人の——強さだと思う。長く働いてきた人ほど、その正直さを持てなくなる。自分を守るために、揺れていないふりをするようになるから。

カードに問いかけた。

出てきたのは、ワンド5。ぶつかり合い、消耗し、それでも誰も倒れていない。勝敗のない戦いの中で、ひろ子さんはずっと立ち続けている。

「勝とうとしないことが大事ですよ」

わたしはそう伝えた。相手の承認欲求と正面からぶつかっても、決着はつかない。それより、自分の心の真ん中を静かに守ることの方が、今のひろ子さんには必要だ、と。

でも——それ以上に、伝えたかったことがあった。

「あなたが間違ってたわけじゃないですよ」

ひろ子さんは、しばらく黙っていた。その沈黙に、ずっと抱えてきた問いの重さが滲んでいるような気がした。正しかったかどうかを誰かに確かめたかったのではなく——間違っていなかったと、ただ一度、言ってもらいたかっただけかもしれない。

春には流れが変わると、カードは告げていた。

今いる職場の状況に、ひとつの区切りがやってくる。それがどんな形かはわからない。でも、変化は来る。

その言葉を聞いたとき、ひろ子さんの声が、少しだけ変わった。力が抜けたというより——何かを、そっと下ろしたような。

占いは、未来を決めるものではない。

今の気持ちと、今の流れ。そしてその先にある、ひとつの可能性を一緒に見るためのもの。

ひろ子さんが長い時間をかけて積み上げてきたものは、本物だ。怖くなるほど、本気でやってきた人だけが持てる、あの種類の誠実さを——わたしは、電話口でちゃんと感じていた。

これは、誰かの物語。
そしてきっと——あなたの物語でもあります。

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