第17話|心地よさの檻——占い師篇

電話口の声は、穏やかだった。穏やかすぎて、少し心配になるくらい。

彼女——加奈子さんは、はじめからわかっていたんやと思う。ただ、それを誰かに言ってほしかっただけで。

本命星は七赤金星。華やかで、人の心を掴む言葉を持つ星。でも、その分、相手の言葉にも敏感に揺れる。

「何考えてるのかわからなくて」

それはそうやろな、と思った。相手は九紫火星。頭の回転が速くて、言葉で人を包む。熱を持って語るけれど、その熱は、いつも「今」の温度でしかない。

九紫の炎は、燃え上がる時は本物やけど、未来まで続く保証はない。「深めていきたい」やなくて「このままでいたい」という炎。だから、言葉は本気でも、約束にはならない。

加奈子さんを映した星がまだ揺れていた。傾斜は坎宮——一白水星の宮。水は、深く染み込む。感じたことをすっと手放せなくて、じわじわと積み重ねていくタイプ。「しんどい」が口から出てくるまでに、どれだけ抱えてたやろ、と思う。

正直に伝えた。彼、家庭を手放す気持ちは少ないです。維持していきたい、という愛情の見え方がします。言葉は本気やけど、それは未来を保証するものやない——。

少し間があって、「ああ、やっぱり」という声が返ってきた。泣いてはいなかった。でも、ずっと張ってたものがすこし緩んだような、そんな声やった。

十二月の終わり、また電話をもらった。「なんともいえない状況でどうしたらいいか苦しくなってました」そう言ってくれた。

苦しさを声にできた、ということが、もう一歩やと思う。彼女に伝えたのは、信じていいものと手放すものを少しずつ見極めていきましょう、ということだけ。急がなくていい。でも、立ち止まってみて。

電話を切ったあと、ライブに一人で行ける人は大丈夫やな、と思った。推しに夢中になれる人は、ちゃんと自分の輝きを知ってる。

あなたの「しんどい」は、もう手放してもいい合図かもしれません。

これは、誰かの物語。そしてきっと——あなたの物語でもあります。

────────────────
鈴木みずほ公式メルマガ

【氣の羅針盤】

毎日20時配信

暦のこと
日々の気づき
占い鑑定でのお話
そして毎日の運氣

眠る前のひとときに
読んでいただけたら嬉しいです。▼メルマガ登録はこちら
https://www.reservestock.jp/subscribe/343616

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です