ドアミラーが蜂だらけやった件——分蜂という春のビッグイベントを知らずに突撃してしまった話
昨日、出先から帰って自宅の駐車場に足を踏み入れると、天井付近を蜂がものすごい数で飛んでいた。

え、なに、なに??
身をかがめながら車の横をすり抜けようとしたら、運転席のドアミラーに鈴なりの蜂。写真を見てほしい、あの密度を。
もうパニックで、とりあえず玄関に逃げ込んだ。
落ち着いてから(なぜか)スマホをズームにして写真だけ撮って、家族のLINEを確認したら、娘から午前中にメッセージが入っていた。
「朝から蜂がめっちゃ飛んでて自転車が出せない」
え~~~それ、早く読めばよかった~~~💦
夕方には車を使う予定があった。もうやるしかない。
玄関に常備してある蜂スプレーを握りしめ、家の壁に隠れながら、シューーッ シューーッ シューーッ。
蜂はバタバタと落ちて、一瞬で塊は崩壊。駐車場の天井に向かっても追加でシューーッ。
なんとか事態を収拾……した。
夕食のとき、夫と娘に言われた。
「あれ、分蜂やで」
ぶんぽう?
聞けば、春(3月〜6月頃)にミツバチの巣で新しい女王バチが誕生すると、古い女王バチが働きバチの約半数を連れて巣を離れ、新しい住処を目指して旅立つ「巣別れ」の現象らしい。これを分蜂という。
晴れた日の午前中から昼頃に多く発生して、移動途中に樹木や軒下、そして——ドアミラーに「蜂球」と呼ばれる塊をつくる。でも数時間から数日で自然に移動するので、刺激せずそっと見守るのが基本なのだと。
……え。
私、無駄に殺してしもたの???
確かに言われてみれば、スプレーしても一切攻撃されなかった。分蜂中のミツバチは、守るべき巣がない状態なので、おとなしいらしい。
冷静に考えたら、ほんまにただ見守るだけでよかった。
希望に向かって旅立とうとした群れを、奈落の底に突き落としてしまった。
ごめん。ほんまにごめん。
心の底で、手を合わせました。
季節の変わり目って、人間だけが動いているんじゃないんよね。
蜂も、虫も、草も木も、それぞれの命のリズムで、生をつなぐために動いている。
そのど真ん中に、知らんと飛び込んでしまったわけで。
自然の営みに、もうちょっと耳を澄ませて冷静に見守りたいなと思った、春の夕暮れでした。
次の七十二候のお話はまた改めて。季節はもうすぐ、また一歩進みます。


