小さな命が、うじゃうじゃ生まれる季節

七十二候「蟷螂生」と、庭で見た自然界のドラマ

6月6日。

今日から二十四節気は「芒種(ぼうしゅ)」を迎えました。

稲や麦など、穂先に芒(のぎ)を持つ作物の種まきや田植えの目安となる季節です。

田んぼには水が張られ、若い稲が風に揺れ始めます。

そして七十二候も新しい候へ進みました。

第二十五候

「蟷螂生(かまきりしょうず)」

冬を越した卵から、カマキリが孵化する頃です。


カマキリが生まれる瞬間は想像以上

みなさんは、カマキリの孵化を見たことがありますか?

私はあります。

しかも何度も(笑)

我が家の庭には、なぜか毎年たくさんの卵が産み付けられるんです。

木の枝。

プランター。

物干しの近く。

「こんなところにも?」

と思う場所にもあります。

あまりにも数が多いので、夫が見つけるたびに

「また増えるやん」

と言いながら、前の休耕田へそっと移動させています(笑)

それでも毎年、庭にはたくさんのカマキリがいます。


ある日、卵のうの隙間から小さなカマキリが現れ始めます。

最初は数匹。

ところが次の瞬間、

うじゃうじゃうじゃ~~~。

本当にそう表現するしかありません。

細い糸のような体。

まだ透き通るような色。

数えきれないほどの小さなカマキリたちが次々と出てくるのです。

初めて見たときは感動というより、

驚きの方が大きかったかもしれません。


それでも成虫になれるのはほんの一部

一つの卵からは100匹以上生まれることもあるそうです。

でも、そのすべてが大人になるわけではありません。

鳥に食べられたり、

他の虫に食べられたり、

雨や風に耐えられなかったり。

自然界は想像以上に厳しい世界です。

それでも毎年庭でカマキリを見かけるたび、

「あの中の誰かなんやろな」

と思います。

小さな体で生き延びてきたんやなあと、少し感心してしまいます。


実は庭の頼もしいハンター

カマキリは完全な肉食昆虫です。

ハエや蚊、

バッタやチョウ、

アブラムシなどを捕まえて食べます。

大型のオオカマキリになると、

トンボやセミだけでなく、

カエルやトカゲ、

時には小鳥を捕らえることもあるそうです。

庭や畑にとっては、害虫を減らしてくれるありがたい存在でもあります。


カマキリは待ち伏せの名人です。

草の陰や枝の上でじっと動かず、

獲物が近づくのを待っています。

そして射程距離に入った瞬間、

鋭い前足を伸ばして一気に捕獲。

その速さは目で追えないほどです。

普段はのんびりして見えるのに、

狩りの瞬間だけはまるで別の生き物のようです。


昨年、共食いの瞬間を見てしまった

そして昨年。

私は自然界の厳しさを改めて知る出来事を目撃しました。

カマキリの共食いです。


オスがそーっと近づいていきます。

少しずつ。

本当に少しずつ。


一方のメス。

知らん顔ではありません。

じっと見ているんです。

本当にじっと。

微動だにせず、

オスの動きを目で追っています。


なんだろう。

今思い出しても少し怖い(笑)


オスは慎重に近づきます。

メスは見つめています。

そして、

オスが射程圏内に入った瞬間。


サッ!


一瞬でした。

気が付けばオスは捕まっていました。

あまりにも速くて、

何が起きたのかわからないほど。


そして、

メスはそのまま食べ始めたのです。

頭から。


私は思わず

「えぇぇぇぇーーーっ!」

と声を上げました。

知識としては知っていました。

カマキリのメスがオスを食べることがあると。

でも実際に見ると衝撃です。

本で読むのと、

目の前で見るのとでは全然違います。


命をつなぐということ

調べてみると、

メスがオスを食べるのは卵を産むための栄養を確保するためだと言われています。

もちろん毎回ではありません。

無事に逃げ切るオスもいるそうです。


自然界には、

私たち人間の価値観だけでは語れない世界があります。

美しい花が咲くこと。

鳥がさえずること。

新しい命が生まれること。

その裏側には、

生き抜くための厳しさも存在しています。


けれど、それは残酷というより、

ただ「生きる」ということなのかもしれません。

誰かを傷つけるためではなく、

命をつなぐための営み。

自然はいつも静かに、

そんなことを教えてくれます。


芒種の頃に思うこと

芒種は種をまく季節です。

そして蟷螂生は、

小さな命が動き出す季節でもあります。

庭で生まれた小さなカマキリたちも、

それぞれが生きるために必死です。


私たちも同じかもしれません。

目立たなくてもいい。

派手でなくてもいい。

まずは自分の場所で、

自分の役割を生きること。


庭の片隅で始まる小さなドラマを見ながら、

そんなことを思った芒種の朝でした。


ちなみに私はその日以来、

カマキリのメスを見るたびに少しだけ距離を取っています(笑)

向こうから見れば、

私のほうが何百倍も大きいはずなんですけどね。

それでもあの鋭い視線を見ると、

「私は射程圏外やんな?」

と、つい確認したくなるのでした。🐛🌿


季節は巡り、命は育つ。

七十二候「蟷螂生」の頃、庭の片隅にも小さな自然のドラマが息づいています。

明日もよい一日になりますように。

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鈴木みずほ|氣の羅針盤

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