第12話 9ヶ月越しの、鍵ひとつ
誰かの人生の中にある、
ひとつの選択。ひとつの想い。
それはきっと、
あなたの物語ともどこかで重なっている。
そんな物語を、ここに。
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九星氣学鑑定の中で、
実際にご相談いただいた内容をもとに、
個人が特定されないよう背景を変えながら、
ひとつの物語として記しています。
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「どうするべきか、わからなくて」
彼女は、そう言いました。
59歳。
7年間、
週に二度、
彼のもとへ通い続けた女性。
家庭内別居が続く家と、
彼の家とを行き来する日々。
それが、
彼女の「日常」でした。
1月のある日、
大きな喧嘩をして――
それから、
9ヶ月。
連絡はない。
彼からも。
彼女からも。
ただ、ひとつだけ。
手元に残っているものがありました。
彼の家の、鍵。
「別れ話はしていないんです」
彼女は、静かに言いました。
「だからなんとなく、
フェイドアウトになるのかなって」
7年という時間が、
音もなく終わっていく。
その寂しさが、
言葉の奥ににじんでいました。
彼のことを見ていくと――
深く感じ、
深く傷つく人。
あの夜の言葉。
お互いが、
一番触れてはいけないところを
刺しあってしまった。
そのとき、
彼の中で何かが、
静かに閉じたようでした。
彼女は、
言葉をまっすぐに届ける人。
だからこそ、
傷ついたときの言葉は、
自分にも、相手にも、
深く届いてしまう。
「私も、言いすぎました」
そう言った彼女の声は、
どこか受け入れているようでもありました。
今の彼の気持ちを見ていくと――
戻ることは、考えていない。
自由を取り戻したような、
そんな感覚。
それが、
正直なところでした。
残酷に聞こえるかもしれません。
けれど彼女は、
静かに頷きました。
「やっぱりそうか」
その一言に、
すでにどこかで
わかっていた気持ちがありました。
「鍵は、どうしたらいいでしょう」
彼女は、そう続けました。
連絡して返すのも、
捨てるのも、
どこか違う気がする。
でも――
手元にあると、
そのたびに心が揺れる。
ただの鍵のはずなのに、
「もしかしたら」と、
心が意味を持たせてしまう。
私は、お伝えしました。
そっと、郵送で返すこと。
一言も添えなくていい。
鍵だけを、
封筒に入れて。
それが、
ひとつの区切りになるからです。
それは、
物を返すというよりも――
「もう探さない」と決めること。
自分への、静かな宣言。
「出会いは、ありますか」
最後に、彼女はそう聞きました。
今は、
外に出る気にもなれない。
人と会うことも、
少し遠く感じている。
それでも――
これから先、
人とのご縁が動き出す流れは、
ちゃんとありました。
ただ、
これまでの時間が、
その流れに乗ることを
少しだけ止めていただけ。
鍵を返すこと。
それは、
過去を閉じることではなく、
新しい風を迎える準備。
彼女は、
少しだけ明るい声で言いました。
「引きこもってないで、出かけます」
そう。
外に出ること。
人と笑うこと。
その小さな一歩が、
新しいご縁を連れてきます。
笑顔は、
思っている以上に、
人の心に届くものだから。
これは、誰かの物語。
そしてきっと――
あなたの物語でもあります。
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